海外投資をする日本人と、カンボジアの首都プノンペンで不動産投資を検討

2015-05-30

海外で不動産投資をする日本人投資家と、プノンペン中心地の不動産仲介業者を訪問し、カンボジアの首都プノンペンの不動産投資の新鮮な情報(マーケット状況、価格推移、地価情報)をたっぷりと聞いてきた。

カンボジアの首都、プノンペンのど真ん中一丁目一番地(一平米5000USドルエリア)

日本と比べ遜色しない価格エリアで不動産仲介業をするカンボジア人に直撃をした。

プノンペン中心地

そもそも不動産仲介業者を訪ねた狙いは、現地での生々しい不動産情報の取得はもちろんのこと、海外不動産投資でよく聞くコンドミニアムなるものが投資案件に値するのか?を見極めたかった点もある。

海外不動産投資でよく耳にするコンドミニアム。よく耳にし広告を見る機会も多いが、実際に自分の周りで物凄いリターンを出した人がいない投資案件コンドミニアム。

プノンペン建設ラッシュ
本当にコンドミニアムは投資対象として魅力的なのか?
実需要と実供給はマッチしているのか?
海外投資を決める上で経済合理性はあるのか?

コンドミニアム投資については懐疑的な心象を持ってる方は多い。投資対象としての可能性を見極め、実態のマーケット情報を入手する為、海外不動産投資を実際にやっている日本人投資家をアテンドするためプノンペンの不動産情報を徹底的に収集した。海外投資に興味を持つ前向きな日本人投資家へ生きた新鮮な情報をここにまとめる。

そもそもカンボジアの不動産に期待する理由は?

カンボジアの首都プノンペン、人口150万人(2012年データ)が暮らしている。カンボジア全土での人口は約1500万人なので全国民の1割近くがプノンペンに住んでいる計算だ。ちなみにカンボジアの出生率は直近のデータで2,8(2012年)なので現在はもっと人口が増えていると予想される。人口増加の伸びはまだ続く見込みが強く、人口動態も極めて健全だ。日本は人口減少が始まったなどと騒いでいるが、人口動態ではもっと深刻な問題を抱えている、平均年齢が45歳の老人国家だ。わが国と比べてカンボジアは半分の年齢、国民の平均年齢は24歳。働き盛りで消費意欲も強い若者で溢れている。一人当たりGDPも1000USドルと東南アジアの中でも最下位に近い、しかしそれだけ成長余力がありカンボジア国のGDPも7パーセント8パーセントを推移している。実際に現地に足を運ぶと街や人々から放たれる熱気や活気に感動するだろう。私自身も触発され大いに刺激を受けたし、世界各国に足を運んだことのある日本人投資家も可能性を大いに感じていた。

結論、コンドミニアム投資は限定的な範囲で検討に値する案件は存在した。

現地プノンペンの不動産マーケット、不動産価格の推移、購買者層、市街の地域による違い、各不動産販売会社の特徴、今後の消費者動向とマーケット予測、やはり実際に現地に住んでいる人間に聞く話と、

本やインターネットで出回っている情報には乖離がかなりあると感じた。

プノンペンの街並み

現地人の不動産仲介業の方に貴重な時間をいただいて、カンボジアの首都プノンペンの不動産事情について尋ねた。実際のマーケット事情を知る存在なので突っ込んだ質問もかなり聞いた。仲介業者の方は、とても誠実な青年だった。こちらが聞いたことは全て包み隠さず素直に答えてくれた。このコンドミニアムは全部で何世帯ですか?このコンドミニアムの販売状況は現在何パーセントですか?販売元の建設会社の資金状況は?投資家が被るリスクで考えられる点は?

こちら側は、思いつく限りの本当に知りたい情報を得る為に、かなりの質問責めをした。しかし嫌な顔一つせずに質問を個別に丁寧に答えてくださった。知らないことは知らないと答えてくれたのがとても誠実で好感が持てた。コンドミニアム投資をするなら彼から購入すれば大きな問題は起こらないだろうと思う。いつか彼からコンドミニアムを購入するかもしれない。

話は少し逸れるが、海外不動産投資を指す場合、大きく二つの種類に分けられる。

土地を購入するか?コンドミニアムの一室を購入するか?

成長が著しい東南アジア諸国のほとんどの国では、外国人が土地を所有することができない。現地の法律によって規制されているケースがほとんどだからだ。カンボジアも御多分にもれず外国人投資家に不動産の所有は認められていない。現地で投資家が出資した法人に不動産を所有させても、法人の出資持分の51%はカンボジア人になっていなければ不動産の所有はできない。外国人投資家の持分は49%までだ、、、どこまでも土地の所有には制限がかかってしまう状況がある。カンボジアや投資を受け入れる国側になって考えれば当然で、外資の受け入れ制限を決めておかないと国内経済が外資の流入流出に振り回され、計画的な国家運営に支障をきたしてしまう。

なので外国人投資家はコンドミニアムを所有するケースが圧倒的に多い。

実際にプノンペンの中心部の高級コンドミニアムを購入しているのも大半が外国人投資家だ。現地の仲介業者に聞いてみてもカンボジア人はハイエンドのコンドミニアムは全く購入していない。高額なコンドミニアム市場を支えているのは外国人投資家だ。ちなみに高級コンドミニアムの価格帯はUSドルで11万ドルから12万ドルからある。

ヒアリングを行っていくと面白い情報が聞けた。個人的に面白かったのは、コンドミニアムを販売している会社は幾つもあるが、完成しているのは2棟だけ。90%以上の購入者は海外投資家、外国人投資家であり、実際のカンボジアに住むクメール人はコンドミニアムをほとんど買っていない。20万ドル10万ドルのコンドミニアムから5万3万の小さなコンドミニアムまで価格帯は様々。

価格帯の高いコンドミニアム、

プノンペン中心部の案件は価格帯が高く、あまり魅力的ではないのが我々の本音だった。

価格としては高止まり感が強く、物件の価格も大きい割にスピードも遅い。少なく見積もっても2、3年の時間はコンドミニアムが完成するまで投資資金を寝かせる必要がある。カンボジアの建設方法はプレビルドを採用しているのも大きなリスクの一つだ。

カンボジアや新興国で選択されているプレビルド形式とは?

不動産の土地を所有したデベロッパーが建設計画を練り、建設計画の段階で販売を開始する方法。建設資金はコンドミニアム購入者、投資家から集めながら建設工事をすすめる方法だ。資金が集まったら竣工し、資金の集まるスピードによってコンドミニアムが完成するスピードが変わる。コンドミニアムのデベロッパーは、韓国系、中国系、シンガポール系、マレーシア系と様々な国資本の建設会社がある。

韓国資本の高級ニュータウン
↑韓国資本の開発中の高級ニュータウン 一軒50万USドル。既に住んでる人も多かった。

プレビルドは極めて合理的な方法だ。建てる前に建設費用を集めて、建設費用が集まったら事前に立てた計画に沿って建設を進めていく。売り側にとってこれほど都合の良い方法はない。

実は不動産仲介業の方にお会いする前に、 カンボジアの建設業界で活躍されている日本人の方にも直接お会いして話を伺った。

カンボジアに渡って現地の建設業界で仕事をしている実務家の方だ。デベロッパーとは違い、もう少し小さな規模の建築物を手がける方で、デベロッパーとは違う視線で職人としての角度から現地プノンペンの状況を捉えていた。

その日本人の方は面白い表現を使ってプレビルドのコンドミニアム販売を説明してくださった。

幽霊ビル。建設計画が頓挫し放置されたビル。

幽霊ビルは一件だけではなく思いのほか多い。実際にプノンペンの中心部に42階建ての高層マンションの計画があり、建設物も途中まで進んでいるが5年前から工事は止まったままだ。42階どころか20数階しかできていないその建物は、まさに幽霊ビル。なぜ工事が途中で止まってしまっているのか?なんでも建設会社の社長は韓国人の方だったらしく、42階建ての建設資金をカンボジアのカジノでスって蒸発してしまったとの事。カジノで溶かした金額30億円。たくさんの泣いた投資家が発生した。

プレビルドは販売上、建設計画通りに建物が完成しなければ資金を返却するという約束だが、デベロッパーが逃げてしまったら元も子もない。

売り側は土地を放棄して集めた金を持って消えてしまえば、残るのは大勢の泣く投資家だ。プレビルドのリスク、この部分、建設会社の母体の信用度もコンドミニアム投資をする上で避けて通れない重要な部分だ。

コンドミニアム投資の結論。適格な価格帯は5万ドルから3万ドル。

実際に現地の人々から情報収集をしてみると、プノンペン中心部のコンドミニアムは我々から見ると魅力的ではなかった。
建設計画中のコンドミニアムは山のようにあり、その購買者層は外国人投資家ばかり、実需に見合った動きには見えなかった。さらにデベロッパーは市外周辺地域の土地も次から次に手を付けていて、建設すら始まっていない土地も多く散見される。もちろん我々の見立てに反して不動産価格は上昇を続けるかもしれない。しかし、そもそもの販売価格が高い上に抱えるリスクは巨大だ。1案件11万ドルから20万ドルの価格。コンドミニアムが完成すれば出物が少ないので物件価格が上昇して、転売で利益を出すこともできるが、、、建設計画の進捗は未確定。

実勢のコンドミニアム販売状況は読みにくく、購入を決めてから完成するまでは資本を寝かさなければいけない。どれだけ寝かさないといけないのか不透明なのはリスクだ。

トゥクトゥクからの景色
↑街中で見かける大勢の若者はいるが、彼らは高級コンドミニアムの買い手ではない。

高級コンドミニアムとは逆に、5万ドル3万ドルの物件であれば一件あたりの金額は手頃に購入でき分散投資もできる。やはり不動産投資の醍醐味は土地選び、一件しかなければ土地選びのリスクはかなり高いが、3件、4件と分散できればリスクはかなり低減できる。転売が無理でも賃貸に切り替えることも可能だし、賃貸収入に方針転換をした場合でも、3万ドル5万ドルの案件であれば賃料の設定もそれほど高くなくていい。現地のカンボジア人が手の出せる金額での設定が可能だ。

プノンペン中心部、高級コンドミニアム、外国人投資家、世界的な金余りの背景を考えるとギャンブル的要素が強いように思える。

コンドミニアムの他に不動産投資の話で面白い話がもう一件。

外国人が持てない不動産所有に関わる話。不動産を持ちたい!賃貸収入を得るインカムゲイン投資よりも新興国の経済成長の恩恵を直接、享受できる不動産投資の醍醐味キャピタルゲインを得る不動産を所有したい!という人はどうすればいいのか?

実際に現地で行われている方法をいくつか聞いたので紹介しよう。

まず不動産所有をする大前提だが、カンボジア人の信頼できるパートナーが必要になる。

ここだけはカンボジア不動産投資をする上で絶対に必要な要素だ。不動産の所有が外国人に認められていない限り、カンボジア人の協力は絶対に必要になる。では具体的にどのような方法で不動産投資をするのか?不動産の所有を現地のカンボジア人の名義で登記して債務契約で保全する形だ。しかしそもそも不動産の所有は認められていないので、どこまで有効なのかはわからない。しかし現実にそのように投資をしている外国人投資家が少なくないのも事実だ。カンボジアで働くカンボジア人の弁護士に実際に会って詳細についても確認した。

現地法人を作って持分比率の51%を複数のカンボジア人にもたせる方法。

名義を借りる以外のもう一つの方法は、現地で法人を作って持分比率の残り51%を複数のカンボジア人にもたせる方法。これは仲介業者の青年から聞いた話だ。でも待てよ?これってどこまでも自分の権利が保全されていないんじゃないのか?51%をカンボジアの複数の人間に持たせても、ひっくり返されるリスクはどこまでも残ってしまう。

だから海外投資、特に不動産投資は現地での信頼できるカンボジア人パートナーの存在が生命線になる。

信頼できて一緒に仕事をする仲間だ。現地での信頼できるパートナーは海外投資の成否をそのまま決定する。現地の本当の情報、住んでいる者にしか見えない景色、実際のマーケット事情がわからなければ海外投資なんて失敗するだけだ。百聞は一見に如かずの言葉通り、現地の情報を持たない外国人が丸腰で行って勝てるはずが無い。

現地の人の名義で土地を買う方法ともう一つ別の方法がある。根本からリスクを無くしてしまう方法。

あなたが国籍を取得してあなたの名前で不動産を所有する方法。

もちろん日本人は二重国籍を認められていない、国籍を取得して不動産を所有する投資方法についてここでは詳細は書かないが、投資家のリスク許容度によって投資家自身の判断で決めればいいと思う。ちなみに国籍取得の費用は、約10万ドル。約と付くのは国籍取得の際に賄賂によって価格が変動する場合を想定しての表現だ。通常、一般の人が役場に申請用紙を持って行っても、間違った誕生日で国籍登録をさせられる。直して欲しければ金を持ってこい、というわけだ。カンボジア国籍を取得する場合は申請ルートによって取得コストが倍になってしまう場合もあるので十分に注意しなければいけない。

以上がカンボジアの首都プノンペンにまつわる外国人投資家から見た不動産投資リサーチの結果だ。

我々は、幸いにも人の縁に恵まれ短期間で、さまざまな人から不動産の投資方法について多くの収穫ができた。新興国の経済成長の波に乗った投資を探していたら、これも縁で東南アジアのカンボジアに出会った。ポルポトの大虐殺によって多くの知識人や貴重な命が失われ経済成長が出遅れている国カンボジア。一人当たりGDPは東南アジアの中でも最低クラス、一人当たり年間GDPは約1000ドル。GDPは低いが成長率は年間7%8%の伸びを維持している。リーマンショックの時でさえマイナスにならなかったのだから成長余力はまだまだ期待できる。

今の所はカンボジアという国について、そんなに大きな問題は見当たらない。国民性も大人しく素朴な人柄で親日家、現地の人と話していても日本人の国民性ととても似た感情を持つ。しかし大人しい国民性が仇となり国境付近では東はベトナム、西はタイにいいようにやられている。まるでどこかの島国みたいだ。

そして何よりもの魅力は現地で流通している通貨USドル。カンボジアは自国通貨リエルを持っているが、決済はUSドルで行われる。カンボジアは硬貨の通貨がないので、お釣りを受け取るときだけは現地紙幣での受け取りとなる。実際に現地でみやげ物を買ったりレストランで食事をしたがUSドルしか目にしなかった。

国籍取得のルートもあり、信頼できるカンボジア人パートナーにも恵まれ、現地人のリアルなマーケット情報にもアクセスでき今回のカンボジア投資ツアーは大成功だった。やはり人の縁はつくづく重要だと改めて気付かされる。感謝しかない。

最後に、現地での今後の不動産需要の動きも聞いてきたのでシェア。

プノンペン郊外視察
↑現地の不動産ブローカーとプノンペン中心部から車で30分。こんな郊外でも地価の上昇速度は十分に魅力的。

郊外の案件の方が魅力的だと言う意見の方が多い。

実際に建設業界でカンボジアで活躍されている方の話を聞いたが、コンドミニアムについては否定的な考えを持っていた。そもそもカンボジアでは建設費用が1平米600ドルから700ドル位。50平米60平米のコンドミニアムだとしたら、3万ドルから4万ドルの建設費用で販売価格は15万20万。中抜きが多分に加味された価格設定だ。そして現在の世界経済の通貨ジャブジャブの状況で、バブル価格ではないのか?とどうしても慎重に考えさせられる。。

逆に郊外の安い土地を今のうちに仕込んでおき、賃貸物件を考えた方が手堅く稼げるのでは?

という意見を持っていた。その意見が興味深かったのは、我々の知るカンボジアの富裕層の方も全く同じ考え方を持ち現実に実行し利益を出していたからだ。安い郊外の土地を購入し転売、もしくは購入した土地をそのまま保有して賃貸住宅を建設する。現地に出向くとわかるが、現地で地に足をつけて生活をしている人々は中心部の価格帯の高い不動産案件には見向きもしていない。現地の人間は郊外の方へ目を向けている。実際にプノンペン中心部に住んでいる人たちが中心部の土地を売り郊外へ住む場所を変える、買い替え需要も存在する。買い替え需要が起きているのも中心部に金が流れ込んできているから発生するものであり一概にどちらが良いか、郊外か中心部かは考え方次第だ。

高級コンドミニアムが良いかも知れないし安い現地人の人も手の届く物件のほうが良いかもしれない、はたまた現地パートナーと不動産を所有する方法もある。しかし全ては根底の部分で経済成長の見込みの高さと人口がまだまだ増え続けている地の利があるなとよくよく実感させられた。我々の見立てでは物件価格は抑えて数多く仕込んだ方が良いという結論でまとまった。今後もカンボジアでのフレッシュでホットな情報を劣悪な投資環境にある日本人投資家へリポートをして貢献していきたい。

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