なぜ技能実習生は失踪するのか?カンボジア現地で現地人と付き合ってみて

2018-04-10

なぜ技能実習生は失踪するのか?
今までの経験や業界関係者からの声をまとめてみた

技能実習生の失踪は、2016年度5058人

2017年度は上半期だけで3200人以上と増加するばかりだ。

技能実習生の偽装難民を防止するために行政も動いたけど失踪者は減らないように感じる。

なぜ技能実習生は失踪するのか?

送り出す人数が増えれば増えるほど向き合わないといけない問題に思える。最近では失踪者の発生にマヒしてしまってる自分たちに恐怖を感じる時がある。なぜ技能実習生は失踪するのか?信頼関係を築いたと思ってたのに、、、あれほど可愛がって面倒をみてたつもりなのに朝むかえに行ったら、、、

相手が何を感じ考えていたのか?
孤独感?疎外感?あの笑顔は何だったのか?

自問自答を続けても答えは出てこない。やはり技能実習生に直接に聞くしかないが本音を聞き出すのは難しい。相手の気持ちを理解しようと努力を続けながら察するしかないのかもしれない。でも現実は時間や現場に追われて、ついつい分かってはいても余裕がない時ほど見失ってしまうように感じる。

失踪する技能実習生のほとんどは建設業。建設業は2割は失踪すると個人的には考えている。2割ならまだマシな方なのかもしれない。

3Kの王道 建設業

キツい、汚い、危険、その他にも拘束時間のわりに給料が安いというのもある。とにかく朝が早い、会社から現場に行くまでに1時間2時間はかかる。しかも通勤手当はほとんど無い缶ジュースでもあれば良い方だ。

先に断っておきますが、私自信は建設業の友人も多く付き合いやすい人種の方が多いと感じています。建設業で人間味のある良い経営者もたくさん知っている。ここで書くことはあくまで異国の地で日本人が現地人と同じ釜の飯を食べて理解しようと努力した経験をもとに客観的に情報を書くだけなので誤解をしないで欲しい。

週6週7で働く職人さんが多い日本の建設業界

日本の建設業界は週6で働くのが当たり前の感覚を持った方がとても多い気がする。休むのは罪だ、男は働いてナンボ、稼いで使って人生を楽しむそんな様にも見える。私自身も家庭をかえりみず仕事に没頭し働けるときに働いてなんぼだろと考えている日本人だ。

日本に来る技能実習生は母国で、どんな働き方をしていたのか?

東南アジアという熱帯の環境で、週休2日や3日で、ゆるくゆるく働いている現地人が技能実習生として言葉も通じない異国の地に来て働くと、どうなるのか?

時間感覚は分刻みのスケジュール、働いている時間と休憩時間のオンとオフは現場の状況次第、遅刻も欠勤も許されない日本人には当たり前の環境、でも彼らが来た場所では、建設現場では目を光らして注意してくる現場責任者はいない、休みたい時には休んでマイペースで仕事をし、低賃金だから許される当日欠勤や遅刻、そんな環境から日本に来ている技能実習生は少なくないのが現実だ。

現地の送出し機関に求められる技能実習生に対する教育とは?

生活習慣を改めるには相当の努力が必要だと感じます。数多くの技能実習生を学校に迎え入れて日本という異国の地と同じ環境を通リ疑似体験をさせてきたが、多くの人間が生活習慣を軽く考えていて口から出てくるのは言い訳ばかり。これは私も含めて多くの方が思い当たる節があるのではないでしょうか?生活習慣は簡単には直りません。

日本に入国してから生活習慣を改善するのは無理

長らく送出し機関で大勢の人間を見て来ましたが日本に入国してからでは手遅れです。我々、送出し機関からすると、、面接に送りこんだ時点でもう手遅れ、あとは決められた期間は教育を受けさせて送り出すしかありません。現地での技能実習生の送出し機関が、普段から現地でリクルーティング活動をつづけ広く国から人材を集め、事前面接や事前テストなど事前にどこまで見抜くかが肝心です。性格や生活習慣、個人の価値観は変えられません。

だからと言って我々、現地の送出し機関も性格や本質をテストするのも完全ではありません。たった数時間で面談相手の本質を見抜くことができればダントツに突き抜けられるノウハウとなります。ですが現状は人間相手なので限界を感じるのが本音のところ。結果的には人事を尽くし天命を待つのが現状です。

面接の時に技能実習生を見抜くコツ

日本企業の方が現地でのリクルーティングや募集段階から介入するのは不可能に近いです。なので良い人材を見抜くコツをシェアします。これは私が色々な方とお会いして実際に経験もした確かな方法です。この方法を使えば良い人材を採用できる可能性がググッと高くなります。

最後の1人になるまで体力テストを行う

腕立て、腹筋、体力テストをやる企業の方は多いと思います。ですが限界回数まで挑戦させるのが大切です。他の候補者がいる中で、なんとしても日本に行きたい、絶対に俺が合格するという気迫がある人材は良いです。頭の良さや性格の良さはテストや面接ではなかなか見抜けません。ですが体力テストで限界に挑戦する姿は見ることができます。苦しい時にこそ、その人間の本質が垣間見えます。

持久走の無限追加走

体力テストでは持久走が我慢強さを見るのに適しています。多くの参加者がいる中で最後の1人になるまで何周も何周も追加で走ってもらいます。最後の1人になるまで繰り返します。一回ずつのタイムの速さは見ません。何回も何回も挑戦する気持ちがあるのか、ゼエゼエハアハアと息を切らして苦しくても、選ばれるんだ!という強い気持ちがある人材まで絞るのが重要です。

人間いくとこまでいったら最後は気合

これは万国共通であり人種は関係ありません。諦めない気持ち、苦しい時でも折れない辞めない人は伸びる人材が多いです。頭が良くなくても我慢してコツコツ努力を継続できる子は物になります。反対に小利口で少し要領が良さそうな人は要注意です。日本の建設現場には合いません。他の業種なら適性があるかもしれませんが、、、

全ては企業と技能実習生との相性

全ての人材は企業や経営者しだいで仕事は作れると思います。すごい経営者ほど、どんな人材でも個性を活かし会社の中で居場所を作ってくれます。ですが良い人材を採用するに越したことはありません。全ては相性だと思いますが、自社と相性の良い人材が、どんな人物像かは明確にしてから技能実習生を採用すると良いと思います。ただし労働環境が悪すぎると技能実習生も定着しません。

労働環境が悪いと技能実習生は失踪します

最後に、どんな良い人材でも労働環境が悪いと技能実習生は失踪してしまいます。これは日本を出てから知りましたが、我慢、忍耐、と言った感覚は日本だけのようです。海外では我慢や忍耐をなぜするのか理解ができないといった国の方が多いです。若い内は修行のうち、苦労は買ってでもしろ、というのは自分自身と価値観が合えば使っても良い言葉かもしれませんが技能実習生には当てはまりません。日本人が定着しない理由には、外部環境の他に内部環境にも要因があるように、技能実習生が失踪する場所にも理由があります。たまには現場の人から本音を聞き出そうとする努力をしても良いかもしれません。我々も他人のふり見て我がふり直せで精進してまいります。

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