採用した技能実習生の家庭訪問は失踪対策に必要なのか?

2018-06-19
カンボジア王国プレイベン州にて技能実習生の家庭訪問

カンボジア王国プレイベン州にて技能実習生の家庭訪問

建設業の技能実習生の家庭訪問に同行

先日ひさしぶりに日本企業の採用が決まった技能実習生の家庭訪問に同行させていただきました。

採用した企業の経営者の方がカンボジア現地まで面接にお越しくださり、面接の後に採用者の家庭訪問をしました。家庭訪問に行った経営者の方の付き合いのある他の企業の経営者の方が家庭訪問は行くと良いよと勧めてくれたのがきっかけです。

プノンペン市街から車で2時間ベトナムとの国境ちかくのプレイベン州に家庭訪問に行きました。行きの車では久しぶりの寝落ち。ここのところ毎週末は日本からのお客様が訪カンされてるので休みが取れず、、、車内で寝落ち1時間半。時計を目にした瞬間にギョッとして目覚めました。同行した方が理解ある経営者の方と奥様で良かったです。反省です。

さて本題の家庭訪問は失踪対策に意味があるのか?

結論としては、失踪する確度を下げることはできるかなといった印象です。弊社の送出した技能実習生の中でも経営者の方が家庭訪問までして両親にもあいさつをして食事も一緒に取ったけれど失踪してしまったケースは存在します。やはり人材が定着する労働環境の整備が求められる課題なのかなと思います。

家庭訪問は信頼関係を構築する理想の始まり

カンボジア技能実習生の家庭訪問でご馳走いただく

カンボジア技能実習生の家庭訪問でご馳走いただく

今回の家庭訪問でも感じたのですが、やはり実際に採用した技能実習生の田舎まで行き両親や兄弟など技能実習生をよく知る家族と会い、話し合い一緒に食事をするのは良い信頼関係を構築する始まりとして極めて有効的だと再認識しました。

何を背負って日本に働きに来るのか?

日本に来ると1人の技能実習生は1人にしか見えません。その背中に背負っている家族の顔や生活などはなかなか見えにくい部分です。家族の期待を背負って日本に来る、住んでいる村の人間の目も当然に気になる。意気揚々と日本に技能実習生として来る若者の置かれている環境や背後にある人間関係など、実際に家庭訪問して見て聞いて感じ取れる情報は価値があります。

働く場所は、どんな場所なのか?

仕事は何をするのか?

雇用待遇は?

などなど家庭訪問した技能実習生のお父さんやお母さんから、気にしてる質問が飛び出します。その質問を受ける反面、自分たちのやっている人材募集の状況で反省する場面も多々ありました。伝えたと思っている求人条件でも親にまで伝わっていないのは失踪に潜む一つのリスクだと感じます。技能実習生の背後には彼ら彼女らの家族がいます。その家族の応援や支援がなければ、遠く離れた異国の地で技能実習生が日本の仕事に集中し技能を習得して日本語をマスターして成功することはできません。もっと求人情報など、カンボジア現地の人や田舎の人でも、すぐ理解できるように情報を提供しなければいけないと強く感じました。わかりやすく丁寧に何度も説明をして、写真やイメージなども使って、採用前と採用後の情報ギャップが生まれないように改善していきます。

情報ギャップは失踪のリスク

今回の家庭訪問でも感じたことは情報ギャップが思いのほか乖離があるなと感じました。自分たちやカンボジア人の同僚も面接に来る技能実習生はもちろんのこと、家族も情報を知っていると決めつけていましたが実際は驚くような情報が現場では錯綜しているのだと驚きました。

月給1500ドルから2000ドルの仕事

多くの技能実習生が手にする月給1500ドルから2000ドルの総支給はあります。ですが、そこから所得税、住民税、社会保険などなど額面から控除される金額はたくさんあります。実際に手元に残るのは、家賃や光熱費など生活に必要な支出を引いていくと手元に残るのは1000ドルくらいの技能実習生がほとんどです。しかし現地では、技能実習生が住む田舎では、そんな細かい情報まで出ていません。日本に行けば手取りで1500ドルから2000ドルの月給がもらえると本気で信じてた様子だったので正しい情報を提供。数少ない技能実習生は働きぶりが良いのか企業が仕事をたくさん請け負っているのか、いずれかの場合で残業が多くて給与が多い場合はあるけど現実は違うこと。しかし日本語を習得し日本語能力検定でN3やN2を取得すればカンボジアに戻っても日本企業で働けたり、日本語能力が高ければ、その他の技能を習得し日本で就職するのも可能性はある旨を伝えました。真摯に丁寧に説明をし納得していただけて良かったです。もともと険悪な感じではなかったですが、相手の思い込みは恐ろしいと感じました。

母国で聞いた月給は1500ドル以上、実際に日本に来てみたら月給5、6万円、、、

実際にカンボジアの他の送出し機関が使っているリクルーターが言っていた言葉です。とりあえずは目先の問題をクリアして甘い言葉で誘惑をしておいて出国させる前に送り出し費用を回収。日本に送出した後のことは知らぬ存ぜぬ関わらず。。。そりゃあ技能実習生は失踪しますよね。聞いてたことと実際にやらされる仕事が違う、しかも給料は3分の1、そんな会社の人間関係など存在するはずもなく、異国の地で感じる孤独感、母国からは家族や友人の期待の声ばかり、湧き上がる裏切られた感情、、、最悪です。そして日本に特別な好感を持つわけではなく稼ぐために生活のために失踪ブローカーの甘い誘惑に乗り失踪。やはり失踪は起こるべくして起こっています。

日本に来る前は違う説明を受けていた、、、日本に行ったら1500ドルから2000ドルは稼げる。。。

こんな状況は意外と色々な国の技能実習生の間でも起きていると思います。送出し国側の人材募集では、人を集める時に現実ではありえないような良い条件を明示して募集する送出し機関が存在します。特にリクルーターを使っていたり人材募集を外注に頼ったりしていると、技能実習生が聞いていた説明と実際に日本企業が望んでいるガラス張りの情報公開と、かけ離れた状態になったりするケースもあります。

ウチも実際に何度も何度も経験しています。

外注リクルーターが我々にだまって技能実習生から紹介料を徴収していた。デポジットとして預けるだけと聞いていたお金が帰ってこなかった。信頼していたリクルーターが、ある日から急に音信不通になった。こんなに簡単に無責任で何もかも放っぽり出して逃げられるもんなんだと逆に驚きます。

今になって、しみじみと沁みる言葉があります。4年前にカンボジア人の技能実習生事業に関わるようになった頃に現地スタッフが、しきりに言っていました。

「若者をだますリクルーターがいる」

「お金を持ち逃げする悪い人が多い」

「だから送出し機関は信頼やメンツが命」

日本では考えられない情報に半信半疑でしたが、実際に体験して初めて見えた景色がありました。もちろん日本にも悪い人と良い人はいます。カンボジアもそうです。多くの人は人間性が良く他人に対しても優しいです。ですが近視眼的に物事を考える人間も多いために、どうしても目先の利益やお金に目がくらんで、、、、やってしまう。特に社会的な責任が何もない人間などでは多いように感じます。

ガラス張りの情報開示でも十分ではない

ガラス張りの情報開示をして人材募集をしていても裾野にいる技能実習生の家族たちまで正確に理解しているか納得しているか、この部分では大変参考になった家庭訪問でした。
雇用条件書や重要事項の説明書を、どこまで技能実習生が理解できるのか?またその話を技能実習生が家族に的確に伝えられるのか?かなり課題を感じさせてもらえる家庭訪問でした。

実際に現地におもむいて見える聞こえる情報があります。

カンボジア技能実習生の家庭訪問にてプレイベン州に。

カンボジア技能実習生の家庭訪問にてプレイベン州に。

多くの技能実習生は経済的に恵まれてない環境の若者が大半です。家族の期待を一身に受けて日本で頑張って仕事します。その家族と信頼関係を構築するには家庭訪問は極めて有効的です。

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