技能実習生の問題解決
建設業の技能実習生が失踪する原因を真剣に考えてみた
法務省が発表した平成28年10月末時点での日本に滞在する技能実習生数は21万1108人。平成28年の失踪者数は5058人。失踪者は全体の2.39%。平成29年10月末時点での日本に滞在する技能実習生数は25万7788人。平成29年の失踪者数は7089人。失踪者は全体の2.75%です。0.技能実習生の失踪が多いのは男性の技能実習生が多いです。特に建設業の失踪が目立ちます。去年の法改正により、偽装難民申請の取り扱い方法が変更されました。法改正後はカンボジア側でも政府からアナウンスメントがあり一旦は失踪も減少しましたが、失踪は無くなりません。
失踪を手助けする失踪ブローカーの氾濫
最近では出国前から接触するケースもあります。※注意※彼らは失踪していません。
技能実習生に接触して、甘い言葉で誘惑する失踪ブローカーがいます。彼らは、フェイスブックや人づてといった、あらゆる方法を使って技能実習生に声をかけてきます。「すごい簡単な仕事で給料は今のところよりも良いよ」「一ヶ月に30万、40万円といった給料が稼げるよ」「住む場所も提供するし何の心配もいらないよ」とあることないこと技能実習生につたえて失踪をそそのかします。
失踪ブローカーは労働者の提供をすることでバックマージンを受け取っており技能実習生のその後には無関心です。
一人でも多く失踪をさせてお金を稼ぎたい、それが失踪ブローカーのマインドです。実際に失踪した技能実習生の状況を調査していた時にビックリしたのが、失踪先から、また失踪するという構図がありました。失踪ブローカーへの支払いを踏み倒して次の失踪先に失踪する。
失踪情報は各国で出回っている
日本で働いている技能実習生は国を問わず、失踪情報を持っていると考えた方が良いです。東南アジアの発展途上国からでてきた田舎の純粋な若者でもスマホを手にすれば、情報は簡単に入ってくる時代です。フェイスブックなどのSNSから失踪ブローカーの魔の手は迫ります。ITで便利になった世の中ではすぐに簡単に広範囲に情報は広まります。情報を遮断しようとしても無理です。そして多くの方が見落としているのが、技能実習生で来る若者は本来であれば失踪はしたくありません。逃げざるをえない環境から失踪します。逃げざるをえない環境は、職場の環境です。職場の人間関係、コミニュケーション不足、異なる文化、異なる土地での孤独感、、、、もちろん技能実習生 自身の責任もあります。もう嫌だ、こんな環境から逃げ出したい、この苦痛から解放されたい、、、と感じて失踪してしまうケースが多いです。
もっとお金がもらえるから、もっと休みが多いから、そんな甘い誘惑よりも、何としても今の苦痛から逃れたい、こう考えて失踪に至る若者が多いです。
不法就労の現場がなくならない
なぜ失踪を取り締まれないのか?会社から失踪した技能実習生を連れ戻すのは難しいのか?この質問はよくあります。不法就労を助長させる人々があとを絶たないのが根本的な問題です。不法就労は、・不法就労させたり,不法就労をあっせんした人は「不法就労助長罪」となります。3年以下の懲役・300万円以下の罰金です。外国人を雇用しようとする際に,当該外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても,在留カードを確認していない等の過失がある場合には,処罰を免れません。
政府も組合も企業も送出しも人手不足で不法就労をなくせられない
実際に不法就労の現場を押さえることはできるのか?とても難しい問題です。失踪した技能実習生を発見できたとしても失踪しただけでは罰則はありません。不法就労の現行犯で捕まえないといけないため極めて実行が難しいです。失踪先の滞在場所から不法就労の現場が特定できたら張り込みをして、失踪した技能実習生を迎えに来た自動車を尾行して、不法就労の現場に警察官と入国管理局の方と一緒に現場で現行犯でおさえる。刑事ドラマさながらの例えでしたが、実際に誰がそこまでするのか?とても難しい問題です。そもそも不法就労を助長させる雇用主や、不法就労を見て見ぬふりをしている方々、不法就労という行為が犯罪であると言った周知活動も十分とは言えないのかもしれません。政府も取り締まりを強化していますが、まだまだ追いついてないのが実態です。
なぜ建設業の失踪は多いのか
なぜ建設業は失踪する技能実習生が後を絶たないのでしょうか?わたしたちも送出した技能実習生からヒアリングを続けた結果、原因と考えられる要素が特定できてきました。
・拘束時間の長さ
・現場仕事の大変さ
・荒っぽい人々の多い労働環境
以上の3点が具体的な理由として浮かび上がって来ました。
第一に拘束時間の長さが挙げられます。毎日の仕事現場までの移動距離は数十分から2時間以上あります。この移動時間は賃金が計算されてないケースが散見されます。法的にも移動時間は通勤時間とも捉えられるため違法行為ではありません。ですが実際に働く技能実習生からすると、拘束時間は長いのに、なぜ自分の時給は他の職種の技能実習生と比べて不当に安いのかと考える傾向があります。
夏はあつい、冬は寒い、日本人の若者が来ない労働環境
建設業の現場仕事は、とても大変な仕事です。夏のあつい日に外で太陽がぎらぎらと照っている中で汗をたまのように流しながら仕事にはげむ、とても大変な仕事だと思います。さらに冬の寒い日には寒い中で動き回って働いていれば体は温まりますが、指先の裂傷などは夜になって痛みがじんじんと出てくると訴える技能実習生の子もいました。建設は日本を支える尊い仕事です。ですが労働環境は、とても大変な状況です。日本人の若者はガッツが無くなった、根性がないという見方もできますが、実際の建設業の方々が働く現場は、とても大変な環境です。日本人の担い手が少なくなっていることに納得できる部分もあります。(ひとつことわっておきますが、私は建設業を批判しているのではなく、どうやったら建設業界が持続しながら発展することができるのか真剣に考えている内の一人です。立場はカンボジアの送出し機関ですが志は同じです。)
荒っぽい気性の現場の職人さんたち
「あぶねえだろうが!!」「ぼさっとしてんじゃねえよ!」「バカ!!!」建設業界は、仕事現場で命を落とす危険性もあるために、職人の方々が気を張って仕事をしているのは十二分に理解できます。一人の軽率な行動がまわりの人々の命を危険にさらす可能性もある現場です。早く相手に注意するために、どうしても語気が強くなってしまう傾向があります。これは仕方のない気持ちはわかるのですが、カンボジアの若者にとっては失踪をしたくなってしまう一因になります。カンボジアの文化では大きな声を出すことは、あまり良しとしません。カンボジア現地に来ると理解できますが、街中でクラクションの音はあまり聞こえません。渋滞がすごい場所や、混雑している場所でもクラクションの数はとてもとても少ないです。これはカンボジアの文化だと思います。人々は、大きな声をだすことは好きではありません。怒るときに大きな声を出すときもあるそうですが、そもそも怒るのも好きではない国民性です。大きな音に対しては敏感です。大きな声で怒鳴ってしまう、これも失踪の一因です。言葉の暴力は良くないですが、肉体への暴力も技能実習生の話を聞いていくと、意外と聞く場合があります。ちょっと押しただけ、ちょっと頭をこづいただけ、でもやられた技能実習生の側には、「ちょっと」という感覚はありません。こころに傷を残す場合もあります。特に頭を触るのはカンボジアでは厳禁です。他人の頭を触るのは、とても失礼な行為です。
失踪原因で多いのは人間関係の不和
失踪の原因を調査していくと、多く出てくるのが日本企業の社員さんとの人間関係の不和があります。事業主や経営者の方は、技能実習生が会社の戦力であるため可愛がったり目をかけてくれるケースが多いですが、現場で働く社員さんにとっては異なるようです。目の前の現場で行われる終わらせなければならない仕事に追われ、さらに日本語を勉強中の技能実習生に手取り足取り仕事を教えなければいけない。生まれた国も育った環境も異なる異文化の同僚と仕事を進める際にはストレスを感じる方も少なくありません。
理解してないのに「わかりました!」と返事をしてしまう技能実習生の心情
人間関係の不和は日本人の社員さんだけに責任があるわけではありません。技能実習生にも責任があります。日本人の社員さんから仕事の段取り進め方を教わって、完全に理解していないのに「わかりました!」と元気よく返事をしてしまい言われたことと別の行動をしてしまう。結果的に仕事を失敗してしまいます。失敗自体は仕方がないことですが、日本人の社員さんからすると、なぜ教えたのに違う行動を取るのか?この人は嘘つきなんじゃないか?信用できない人間のでは?と信頼関係が崩れ始めます。最初はお互いに笑顔で始まった人間関係が少しづつ変わり始めます。
技能実習生は、なぜ「わかった!」といってしまうのか?
あなたは外国人に話しかけられた経験はありますか?私は経験があります。街中で目の色が青い金髪の人に、まったく分からない外国語で話しかけられてビックリした経験があります。なにかを必死に伝えようとしているが何を言いたいのか分からない?自分では手に負えないのでソーリーソーリーと連呼して、その場から立ち去った事があります。技能実習生の心情もこの私の経験に近いのではないか?と感じます。実際に何人もの技能実習生にもヒアリングをしましたが、ヒアリング中は大丈夫です。と私にも言います。同僚のカンボジア人スタッフにも言います。でも仕事の現場では「分かりました」と言ってしまう。
気まずい、相手に申し訳ない、逃げ出したい
英語圏の人と話して苦笑いしてイエスイエスと連呼する日本人と似ていると私は感じます。
日本語で話しかけられて「分かりません!」と元気よく主張できる技能実習生はめずらしいと思います。ほとんどの技能実習生はニコニコしてわかった風な顔をして、その場をやり過ごします。相手の言ってることが分からない、話しかけてくれる日本人の社員さんに申し訳ない。とりあえず「わかりました!」と言っておこう。その結果、人間関係がこわれていく。。。
現場で一緒に働く人間とこまめにコミニュケーション
コミニュケーションの一環として学校で遠足に行った際の集合写真
結局は本質に戻っていきます。やはり人です。現場ではたらく人達に聞く。技能実習生に聞く。同じ国の人間からヒアリングをして何を感じているのか何に悩んでいるのか、困っていることはあるのか聞き続けることが大切です。もちろん人間なので本音はでてきません。その人間と向き合い理解して察するしかないのではないかと最近は感じます。いくら直接に悩みを聞いてもでてきませんが顔色は隠せません。最近は表情が変わったな、元気がないな、普段とちがう行動が目に見えたら、それは技能実習生からのサインだと思います。サインをできる限り早くキャッチして失踪の芽を早期につんでいくしかないと思います。ここまで読み進んでいただいて期待した回答ではないかもしれません。ですが、やはり人間関係に近道はないと思います。関わる人々の寄り添いかたが重要です。時間はかかりますが信頼関係が構築されれば、その人間関係は受け入れ企業にとっても財産になると私は強く思います。海外展開も夢ではないと思います。技能実習生の持続可能な成功への階段づくりを企業使命として我々は活動しています。そのためには受け入れ企業の成功こそが関わる技能実習生の成功の確度を高める極めて重要な要素だと我々は強く信じます。
採用した技能実習生の家庭訪問は失踪対策に必要なのか?
建設業の技能実習生の家庭訪問に同行
先日ひさしぶりに日本企業の採用が決まった技能実習生の家庭訪問に同行させていただきました。
採用した企業の経営者の方がカンボジア現地まで面接にお越しくださり、面接の後に採用者の家庭訪問をしました。家庭訪問に行った経営者の方の付き合いのある他の企業の経営者の方が家庭訪問は行くと良いよと勧めてくれたのがきっかけです。
プノンペン市街から車で2時間ベトナムとの国境ちかくのプレイベン州に家庭訪問に行きました。行きの車では久しぶりの寝落ち。ここのところ毎週末は日本からのお客様が訪カンされてるので休みが取れず、、、車内で寝落ち1時間半。時計を目にした瞬間にギョッとして目覚めました。同行した方が理解ある経営者の方と奥様で良かったです。反省です。
さて本題の家庭訪問は失踪対策に意味があるのか?
結論としては、失踪する確度を下げることはできるかなといった印象です。弊社の送出した技能実習生の中でも経営者の方が家庭訪問までして両親にもあいさつをして食事も一緒に取ったけれど失踪してしまったケースは存在します。やはり人材が定着する労働環境の整備が求められる課題なのかなと思います。
家庭訪問は信頼関係を構築する理想の始まり
今回の家庭訪問でも感じたのですが、やはり実際に採用した技能実習生の田舎まで行き両親や兄弟など技能実習生をよく知る家族と会い、話し合い一緒に食事をするのは良い信頼関係を構築する始まりとして極めて有効的だと再認識しました。
何を背負って日本に働きに来るのか?
日本に来ると1人の技能実習生は1人にしか見えません。その背中に背負っている家族の顔や生活などはなかなか見えにくい部分です。家族の期待を背負って日本に来る、住んでいる村の人間の目も当然に気になる。意気揚々と日本に技能実習生として来る若者の置かれている環境や背後にある人間関係など、実際に家庭訪問して見て聞いて感じ取れる情報は価値があります。
働く場所は、どんな場所なのか?
仕事は何をするのか?
雇用待遇は?
などなど家庭訪問した技能実習生のお父さんやお母さんから、気にしてる質問が飛び出します。その質問を受ける反面、自分たちのやっている人材募集の状況で反省する場面も多々ありました。伝えたと思っている求人条件でも親にまで伝わっていないのは失踪に潜む一つのリスクだと感じます。技能実習生の背後には彼ら彼女らの家族がいます。その家族の応援や支援がなければ、遠く離れた異国の地で技能実習生が日本の仕事に集中し技能を習得して日本語をマスターして成功することはできません。もっと求人情報など、カンボジア現地の人や田舎の人でも、すぐ理解できるように情報を提供しなければいけないと強く感じました。わかりやすく丁寧に何度も説明をして、写真やイメージなども使って、採用前と採用後の情報ギャップが生まれないように改善していきます。
情報ギャップは失踪のリスク
今回の家庭訪問でも感じたことは情報ギャップが思いのほか乖離があるなと感じました。自分たちやカンボジア人の同僚も面接に来る技能実習生はもちろんのこと、家族も情報を知っていると決めつけていましたが実際は驚くような情報が現場では錯綜しているのだと驚きました。
月給1500ドルから2000ドルの仕事
多くの技能実習生が手にする月給1500ドルから2000ドルの総支給はあります。ですが、そこから所得税、住民税、社会保険などなど額面から控除される金額はたくさんあります。実際に手元に残るのは、家賃や光熱費など生活に必要な支出を引いていくと手元に残るのは1000ドルくらいの技能実習生がほとんどです。しかし現地では、技能実習生が住む田舎では、そんな細かい情報まで出ていません。日本に行けば手取りで1500ドルから2000ドルの月給がもらえると本気で信じてた様子だったので正しい情報を提供。数少ない技能実習生は働きぶりが良いのか企業が仕事をたくさん請け負っているのか、いずれかの場合で残業が多くて給与が多い場合はあるけど現実は違うこと。しかし日本語を習得し日本語能力検定でN3やN2を取得すればカンボジアに戻っても日本企業で働けたり、日本語能力が高ければ、その他の技能を習得し日本で就職するのも可能性はある旨を伝えました。真摯に丁寧に説明をし納得していただけて良かったです。もともと険悪な感じではなかったですが、相手の思い込みは恐ろしいと感じました。
母国で聞いた月給は1500ドル以上、実際に日本に来てみたら月給5、6万円、、、
実際にカンボジアの他の送出し機関が使っているリクルーターが言っていた言葉です。とりあえずは目先の問題をクリアして甘い言葉で誘惑をしておいて出国させる前に送り出し費用を回収。日本に送出した後のことは知らぬ存ぜぬ関わらず。。。そりゃあ技能実習生は失踪しますよね。聞いてたことと実際にやらされる仕事が違う、しかも給料は3分の1、そんな会社の人間関係など存在するはずもなく、異国の地で感じる孤独感、母国からは家族や友人の期待の声ばかり、湧き上がる裏切られた感情、、、最悪です。そして日本に特別な好感を持つわけではなく稼ぐために生活のために失踪ブローカーの甘い誘惑に乗り失踪。やはり失踪は起こるべくして起こっています。
日本に来る前は違う説明を受けていた、、、日本に行ったら1500ドルから2000ドルは稼げる。。。
こんな状況は意外と色々な国の技能実習生の間でも起きていると思います。送出し国側の人材募集では、人を集める時に現実ではありえないような良い条件を明示して募集する送出し機関が存在します。特にリクルーターを使っていたり人材募集を外注に頼ったりしていると、技能実習生が聞いていた説明と実際に日本企業が望んでいるガラス張りの情報公開と、かけ離れた状態になったりするケースもあります。
ウチも実際に何度も何度も経験しています。
外注リクルーターが我々にだまって技能実習生から紹介料を徴収していた。デポジットとして預けるだけと聞いていたお金が帰ってこなかった。信頼していたリクルーターが、ある日から急に音信不通になった。こんなに簡単に無責任で何もかも放っぽり出して逃げられるもんなんだと逆に驚きます。
今になって、しみじみと沁みる言葉があります。4年前にカンボジア人の技能実習生事業に関わるようになった頃に現地スタッフが、しきりに言っていました。
「若者をだますリクルーターがいる」
「お金を持ち逃げする悪い人が多い」
「だから送出し機関は信頼やメンツが命」
日本では考えられない情報に半信半疑でしたが、実際に体験して初めて見えた景色がありました。もちろん日本にも悪い人と良い人はいます。カンボジアもそうです。多くの人は人間性が良く他人に対しても優しいです。ですが近視眼的に物事を考える人間も多いために、どうしても目先の利益やお金に目がくらんで、、、、やってしまう。特に社会的な責任が何もない人間などでは多いように感じます。
ガラス張りの情報開示でも十分ではない
ガラス張りの情報開示をして人材募集をしていても裾野にいる技能実習生の家族たちまで正確に理解しているか納得しているか、この部分では大変参考になった家庭訪問でした。
雇用条件書や重要事項の説明書を、どこまで技能実習生が理解できるのか?またその話を技能実習生が家族に的確に伝えられるのか?かなり課題を感じさせてもらえる家庭訪問でした。
実際に現地におもむいて見える聞こえる情報があります。
多くの技能実習生は経済的に恵まれてない環境の若者が大半です。家族の期待を一身に受けて日本で頑張って仕事します。その家族と信頼関係を構築するには家庭訪問は極めて有効的です。
技能実習生のトラブルでよく聞く原因ナンバー1
わかる わからない 人間関係の悪循環の入口
日本に来たばかりの技能実習生は、日本人から言われた説明がわからないのに、
わかります!と返事をしてしまう。
このトラブルは本当に多いです。
特に企業に実習生が配属された初期にトラブルがおこりやすい。
実習生は日本語で日本人社員から言われた内容を理解していなくても
「わかりました!」と元気よく言う傾向が強いです。
なかにはまったく理解してなくて返事は元気が良い困ったタイプもいます。
相手の脳みその中をのぞければ問題は解決できる。
無理です。
相手に確認するしかありません。
「わかりましたか?」
言葉で確認するだけでは失敗するケースを良く聞きます。
やはり相手に見せた方が技能実習生の作業をおぼえる理解は早いです。
日本側や日本人社員の方に伝えたいのは、
日本と海外の他の国々とでは文化があまりにも違います。
日本は異質です。良い意味で質がことなります。書いてる私も日本人です。
人間は育った環境から様々なことを無意識に学んでいきます。
育った国が違えば、社会もちがいます。
社会が違えば、人間関係の経験もまったくちがいます。
仕事や作業を失敗することが、とんでもない未来をまねくなんて想像していない技能実習生はとても多いです。
育った環境は圧倒的にちがいます。
日本人もカンボジア人も同じ仏教徒で白米も主食にしますが、
仕事に対する職業倫理観はかけ離れています。その事に日本人の方には留意して日々の仕事に共に臨んでいただきたいです。
カンボジアの技能実習生は、田舎から出てきた純粋な青年、若者が多い
自分に説明してくれる日本人社員が、とても好きです。
相手が必死に仕事の説明をしてくれています。自分にはまったく彼の言ってる事が理解できません。相手に申し訳ないと思うので「わかりました!」と元気よくつたえ技能実習生は作業にはいります。まったく悪気はありません。
日本人社員の言ったことを理解しない実習生は、日本人社員の言ったことと違う行動をします。
教えてもらった順序とはまったくちがう順番で、
教えてもらった道具のほうを見向きもしないで、自己流で失敗作を大量に作り続けます。
これを発見する日本人社員は怒り沸騰です。
「こいつは俺の言ってたことを聞いてなかったのか?」
「わかりましたと言ったのに、、、」
日本人の確認不足なのか?
技能実習生の確認不足なのか?
どちらの責任にするか難しい問題です。
日本語を勉強して来なかった実習生が悪いのか?
日本人社員に外国人と働く時の心構えを教えなかった企業が悪いのか?
企業によって考え方は違うと思います。
我々もカンボジア人技能実習生の送出し機関として、
日本語能力が抜群な実習生ばかり送出したいですが、完全はありません。
人材は個体差が激しいので偏りは出てしまいます。
特に、企業配属時の初期は、
技能実習生も緊張がマックスに達しておりミスをしやすいです。
「わかりましたか?」と言っただけでは確認にはならない
と日本人社員に言われ苦痛から逃れるために「わかります!」と言ってしまう実習生は多いです。
人として根は良いのに、一時のプレッシャーから逃れるために「はい」とついつい言ってしまう。。
本当に困った問題です。
ですので弊社では受け入れする日本企業に、
外国人技能実習生と仕事をする上での注意点も情報発信しています。
日本企業ではたらく日本人社員にとって技能実習生の存在は、とても良い刺激となります。
社内にも技能実習生が働くことで、雰囲気が変化して企業としても生産性を向上させる事ができます。
外国人技能実習生がおちいりやすいメカニズムを理解し、
お互いが歩み寄って理想的な企業風土が作られることを願って止みません。
技能実習生は語学の勉強をしつづける、
日本人社員は確認を徹底する。
お互いがお互いを思いやれる環境が最高です。
解決策としては、ボディランゲージがあります。
実際に教える仕事を、技能実習生の目の前でやってあげることです。
百聞は一見にしかず。
こどもに説明する時も同じです。口で言うよりやって見せる方が興味も持つし理解も早いです。
仕事の手順や作業をおしえる解決策は必ずあると思います。
業種、業態により少しづつ違いますが本質は同じです。
言ってみせ、やって聞かせて、 させてみて ほめてやらねば 人は動かじ
山本五十六の言葉です。この通りだと思います。
やり方を教え、ほめてあげないと人間はなかなか変わりません。
ちょっとした事を気を付けるだけで失踪を減らすどころか、
技能実習生も日本企業も日本人社員もすべての関わる人が成長できる最高の環境が創造できます。
今後も日本企業が外国人技能実習生を受け入れるときの注意点や解決策を発信します。
共存共栄が日本の未来にとっても、日本企業にとっても、日本人にとっても良い道だと思います。
技能実習生の失踪者数ランキング
1位 中国人技能実習生 1902人
2位 ベトナム人技能実習生 787人
3位 インドネシア人技能実習生 200人
2014年の技能実習生全体の失踪者数は、
3139人(不法残留者数の全体は、59061人(2014年度))
割合で表すと…
1位 中国人技能実習生 60.59%
2位 ベトナム人技能実習生 25.07%
3位 インドネシア人技能実習生 6.37%
中国人技能実習生の失踪数割合が突出して多いです。
技能実習生全体の数から見れば中国人技能実習生の数が多いので頷ける数字です。
国別技能実習生数
平成25年度末に法務省が発表したデータでは、155214人。
なぜ技能実習生の失踪は起きるのか?
原因はいくつか考えられます。
JITCOの行った調査で、
帰国した実習生にアンケートを取っていたのでココで紹介します。
2013年8月から2013年11月に帰国した11731名(中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン及びタイ)
の帰国した実習生に、「帰国技能実習生フォローアップ調査」を行っています。
この中で「実習期間(在留)中に困ったこと」という項目があります。
不満を知ることで、失踪原因を把握することができます。
・物価が高い
・ホームシック
・税金、社保が高い
・仕事以外の時間が暇だった
・残業が少ない
・賃金が少ない
など沢山の意見が見受けられます。
要約すると、、、
・雇用条件が違った。
・イメージしていた日本の生活ではなかった。
上記の調査結果以外に、こんな意見もあります。
実際に日本の人材紹介企業の方や組合の方から聴く意見で、、、
始めから難民申請目的で技能実習生として入国。
そもそも途上国では一般的なビザが発行されにくい背景があります。
難民申請を始めから計画する人々も少なくないからです。
そこで一部の外国人労働者は難民申請を始めから“する”つもりで技能実習生を装い日本に入国します。
ミャンマーやネパールの一部でよく見られる光景です。酷いケースになると入管で難民申請を出す人々もいます。
日本側の監理団体である協同組合の職員や受入企業の方が空港の出国ゲートで待つのに、
一向に実習生が入国してくる気配が無い…
なんてケースも少なくありません。
始めから難民申請をするつもりで入国を試みる技能実習生は、
送出し機関に責任が大きくあります。
身元の確かな人材で技能実習制度を理解し、
日本企業で働き専門技能を習得する目的を持った人材を事前に選ぶ必要があります。
日本側の監理団体や受入企業では、どうしても人材を選定するのには限界があります。
そもそも技能実習生の面接の段階で、難民申請目的を持った人材ばかりが選ばれていたら防ぎようがありません。
技能実習生を選ぶ監理団体、協同組合や受入企業の方々は人材の身元をチェックする機能を作らなければなりません。
貧困が酷い国では親が子に難民申請を教育します。
とある国では、技能実習生として出国する自分自身の子供に難民申請をするように助言を行う人々もいます。
難民申請をして、申請中にアルバイトを掛け持ちしたほうが稼ぎがいいから、、、と。
難民申請をする未来がどれだけリスクの高い選択肢なのか彼らは知りません。
申請中は働けるだけ働いて、受理されなくても再申請を出す。そしてそれを繰り返し帰国したくなったら強制帰国を選ぶ。
「今よりも良い待遇で働ける場所を紹介する!」なんて甘いささやきを持ちかけますが違法滞在者が就ける職は知れています。
社会の底辺どころではなく、社会の外で働くのですから待遇面が良いわけがありません。ですが難民申請をそそのかす人々は語りません。
最近では難民申請中の労働について制約をかける動きも見られます。正しい情報を
協同組合、受入企業、送出し機関の3社で技能実習生に発信していかなければなりません。
失踪を下げるためには、
実習生の不満を下げることが重要です。
実際に外国人を使って成功している企業の管理者の方々に聞いて役に立った事例を最後に紹介します。
技能実習生にキャリアアッププランを提示する。
キャリアやビジョンを技能実習生にイメージさせてあげることで、
普段の働きぶりに変化が見られたり、企業での人材定着率を向上させたりするケースをいくつも見てきました。
外国人だから、ではなく日本の若者と彼らも同じです。未来に輝かしいキャリアプランを提示してあげることで、
失踪、難民といった間違った未来に進むことを防いであげることができます。
技能実習制度の本来の役割、立場に返って活動をする必要があります。手間はかかるかもしれませんが得られる未来の果実は巨大になります。
技能実習生に詳細な条件を事前提示する。
あまり多くを語らない受入企業の方が多いですが、
これは間違いです。雇用条件を事前に技能実習生に提示するのは極めて重要です。
日本人に働いてもらう場合でも同じですが、事前に提示されていない条件に従うのを嫌うのは雇用される側の立場になれば仕方ありません。
「こんなのは聞いていなかった…」「聞いていた話と違う…」言い訳を与える機会はできる限り事前に潰しておかなければなりません。
雇用条件の詳細に至るまでガラス張りで技能実習生に提示するのは、
これからの3年間、5年間の期間をまっとうし、その後の相互の良い未来の為にも必須事項です。日本で働く前に細部まで技能実習生としての生活をイメージさせてあげることが両者にとって成果を最大化させることがかできます。
技能実習生の国民性、個性を尊重する。
国や文化により生活習慣や考え方は異なります。
日本で生活をしていると異文化に触れる機会が少ないですが、異文化を尊重する姿勢は大切です。
相手の文化に敬意を払うことで技能実習生個々人のポテンシャルを最大限に引き出すことも可能です。
日本式を強制するのではなく、相手に敬意を払うことで個性を引き出し企業としての生産性を上げている事例もあります。
ついつい日本式や自社の企業文化を押し付けがちになってしまいますが、全体の生産性を向上させるためには個性を尊重する事も必要かもしれません。