海外投資
海外投資なぜ必要な時代なのか?
海外投資をする時に、1番重要なのは、現地に行くことです。
現地まで足を運び、現地の空気を吸い、現地の経済を肌感覚で読み取る。
しかし実際どの国に行くのがいいのか?どこに投資をするべきなのか?
一カ国、一カ国、足を運ぶのもいいですが、海外投資を考える時に役に立つ指標があります。
GDPという指標があります。
Gross Domestic Product
国の経済成長のスピードを把握するのに使われる指標。
辞書で引くと、、、
国民総生産から国外投資の利益を引いたもの。
所与の期間について国内で生産されたすべての最終的な財・サービスの価値である。
とあります。違う言い方をすると、、、
年間GDPとは 1年間の国の生産性の成長が、わかる数字。($換算指標)
1年間で製品、サービス、資源などを生産し発生したお金の価値。
年間GDP成長率とは、前年のGDPに大してどれだけ生産性が成長したかを見比べる指標。
年間GDPプラス2%なら、1年間で国が生産できる付加価値が前年比2%増えたことを表し。
年間GDPマイナス2%なら、1年間の国の生産性が前年比の98%に減ってしまったことを表します。
もちろんGDPだけで、全ての経済分析ができるわけではありません。
しかし、国の生産性を測る指標としては外せない指標であり、マクロ経済(その国の経済全体)を
把握するのには便利な数字です。
なぜGDPがいいのか?
“国内”の生産性を測るために算出された数字だからです。
“国内”だけの成長スピードに特化した数字。
企業が海外支店等で生産した付加価値は含まない数字。
純粋に国内の成長性を測るには、丁度いい数字なのです。
このGDPの成長率が高ければ高いほど、
その国は豊かになり、経済発展をしたことを意味します。
GDP成長率の高い国に投資をすれば、GDP成長率が低い国に投資をするよりもリターンは大きくなります。
成長率の高い国に投資をすればGDP成長率という追い風に乗って、投資対効果の成長率も底上げされます。
日本の年間GDP成長率は、
直近3年は、、、
2011年は、マイナス0.45パーセント
2012年は、1.75パーセント
2013年は、1.61パーセント です。
日本は、戦後、奇跡的な経済成長を遂げました。
他に類をみない規模の成長スピードで再興し、
1968年には、国民総生産で当時2位だった西ドイツを抜きます。
世界2位に躍り出た日本は、さらに高度経済成長を続けます。
高度成長期の資産運用の話で象徴的なのが、郵便局。
郵便局に預け入れていた預金や、簡保の提供する保険にお金を入れていて、10年でお金が倍になった、なんて話は日常的な会話でした。
しかし、1990年にバブルが崩壊。バブル崩壊以降、日本経済は徐々に成長スピードが鈍化。
この頃から今までの経済成長スピードの停滞期間を『失われた20年』と表現します。
この現象は、日本だけでなく先進国と呼ばれる国は軒並み同じ現象に苦しんでいます。
国家の経済成長を支える人口動態。人口ボーナス期
国の経済成長を支えるのは、人、労働力です。国の労働力は、時代と共に変化します。若者が多く労働力の豊富な時代は、国の予算も社会保障費がいりません。社会保障費が必要ない分だけ経済成長に資本を投下できます。当然、GDP成長率も上がり、高い生産性の伸びを維持し国もどんどん豊かになります。
新興国で経済成長をしている国の人口統計を見ると、若者が多くて老人が少ない人口ピラミッドを見ることができます。特に東南アジアの国々は、若者が多く老人が少ない。安くて元気の良い大量の若い労働力を背景に、世界中から仕事を集め経済発展をしていきます。日本の高度経済成長期を振り返ってみてもピタリと一致します。
次に、人口ボーナス期を終えると人口オーナス期に突入します。
人口オーナス期とは、衰退期。経済成長をどんどんしていく人口ボーナス期と反対に、人口オーナス期は経済成長が横ばい、下がっていく状態。人口ボーナス期によって経済発展をした国は、国民が豊かになり、多産多生の人口動態から少産少死になっていきます。経済も発展し、医療技術も進歩して寿命はどんどん伸びます。医療技術が進歩し人間の寿命が長くなるのは喜ばしい反面、社会にのしかかる社会保障費は膨張していきます。
この社会保障費は人々が暮らす社会の安定と秩序を保つために必要な費用ですが、経済成長には悪い影響を与えます。社会保障費にまわす予算が増えれば、経済成長にダイレクトに投下できる予算が減ります。結果的に『スパコンの性能は2位じゃだめなんですか?』といった議論がされるようになり、国の経済成長にとっては大きなブレーキ要因となります。
「人口ボーナス期・オーナス期」という考え方は、ハーバード大学のデービッド・ブルームという学者によって発表された学説で、経済を考える上でかなり重要性のある学説として、非常に注目をされている考え方です。海外投資をする時に、投資対象の国の経済成長を測る指標としても使える考え方です。ぜひ覚えてください。
「1つの国に人口ボーナス期はたった1度しか訪れない」
これが人口ボーナス期の恐ろしい残酷な現実。一度、人口ボーナス期を終え人口オーナス期に入った国は、二度と人口ボーナス期はやってきません。近代史の統計で出ている厳然たる事実です。実は、日本が苦しんでいる経済状況は、経済発展を遂げた先進国が軒並み陥る経済プロセスなのです。もちろん日本は人口オーナス期のど真ん中にいます。
経済を支える産業構造の転換期
では、衰退期に入った人口オーナスにいる国が経済成長ができないのか?といったらそんなことはありません。時代の先端を突き進み新たな産業の創出をすることで経済成長することができます。
第一次産業(農業、林業、漁業、鉱業)が主体の実体経済が、
第二次産業(製造業、建設業、工業)と加工産業にシフトし、
第三次産業(小売業、サービス業、医療、)さらに付加価値の高い産業が発展し、
第四次産業(情報通信業など)情報や知識を取り扱う産業へと成長してきました。
先進国は、第一次産業から第二次産業へシフトし、第三次産業が成熟し、
新たな第四次産業の創出に取り組んでいます。
EUの牽引国であるドイツは、インダストリー4.0と呼ばれるプロジェクトに着手。
和訳すると、第四次産業革命です。
工業のデジタル化によって21世紀の製造業の構造を根本的に変え、製造コストを大幅に削減するのが目的。日本もドイツのように新たな産業の創出が喫緊の課題です。
日本国内で、お金を増やすのは至難の業です。
人口オーナス期という経済が縮小する中で、経済発展の地の利を失った中で成長をするのは至難の業。インダストリー4.0もいいですが、実行は想像以上に厳しいように思えます。
お金を増やす方法は3つしかありません。
働いて収入を増やす、使うのを減らして手元のお金を増やす、投資運用をして増やす。
人口が減り、マーケットが縮小する中で、働いて増やす難しさは日本人であれば身にしみてわかると思います。
素晴らしい製品やサービスが市場で溢れ、選ぶ消費者の目はますます肥え、要求されるレベルは高くなり続けています。
そして汗水たらして働いて、手元に残ったお金の40パーセントから50パーセントは税金で消滅。膨れ上がる社会保障費を支え続けるために、まだまだ税金は上がります。所得税、相続税、消費税、とどまる所を知りません。私たちは肌感覚でも人口オーナス期の現状を味わっています。
手元にお金が残らなければ、投下する資本はいつまでも大きくなりません。
使うのを減らす方法を考えると、、、
石油、天然ガス、ウラン、日本のエネルギー資源は輸出に大きく頼っている経済構造です。311の原子力事故をきっかけに再生可能エネルギーとして太陽光やバイオマス等に国として力を入れていますが、その可能性は未知数です。資源高、円安になる度に家計を直撃する値上げの波、さらにデフレ脱却を目指す政治を踏まえると、節約、倹約をしてお金を増やすには限界があります。
では、資産運用はどうでしょうか?
NISA小額非課税投資制度などの創設により、一定の税負担のメリットは享受できます。NISAだけでなく、投資をしたことによって得た利益にかかる税金も、働いて増やす税金より低い税率です。資産運用でお金を増やすのは良い方法に見えますが、話はそんなに簡単ではありません。
日本人が選べる投資対象は欧米の投資環境と比べると、選べる投資対象が極めて低レベルです。アメリカの投資信託では、インデックス投資の投資信託で年間リターン10パーセントを超える商品もあります。しかし、日本人は購入することができません。アメリカ人だけです。シンガポールでは、投資にかかる税金はゼロ。値上がり益に対する課税はなく、選べる投資商品の質、量、共に日本のレベルとは次元が違います。
日本国内の資産運用環境はまだまだ低レベル。株、債権、投資信託、不動産、REIT、、、選択対象は豊富に見えますが、内容はイマイチ。。。
新興国カンボジアのGDP成長率は?
先進国が生産性の成長に苦しむ一方で、新興国は順調に成長を続けます。
下の図は、新興国カンボジアと日本の年間GDP成長率を比較したグラフです。
カンボジアのGDP成長率は、日本の2倍3倍の伸びを見せています。
世界のGDP成長率の伸びと比較すると
世界経済のGDP成長率と比較してもカンボジアの成長率の高さは際立っています。
カンボジアに吹く、人口ボーナスという追い風。
カンボジアのGDP成長率からも読み取れるように、カンボジアはまさに人口ボーナス期の真っ只中です。直近のカンボジアの出生率は、2.9。まだまだ人口が増え続けています。さらに国民の平均年齢は、23.5才。カンボジア国民の70%は、30歳以下の人口です。若くて活気のある労働力が豊富にあり、物やサービスはまだまだ不足気味、消費意欲も旺盛です。
新興国には、物があまりありません。サービスも不足しています。
我々が住んでいる日本と比較すると、生活レベルは段違いです。
停電が日常的におきます。
ビールを飲むときには、冷やすために氷を入れるのが普通。
交通インフラも整っていないので都市部では、交通渋滞が蔓延化。
日本で停電になる時は、数年に一度のレベル。(十数年間、停電を経験していない人も多いと思います。)
コンビニや自販機でキンキンに冷えたビールが簡単に手に入ります。
都市部では、地下鉄、電車、バス、タクシー、よりどりみどりの交通インフラが整っています。
新興国は、とにかく先進国よりも遅れています。
しかし遅れている分、これから経済発展をする伸び代が十分にある。
この伸び代が残っているほど、海外投資のチャンスはあるのではないでしょうか?
新興国の人々は、自宅にテレビ、冷蔵庫、洗濯機がありません。
テレビ、冷蔵庫、洗濯機を買うために必死になって働きます。欲しい物を手に入れる為に。
この物欲が経済成長のスピードを押し上げます。働く人々の活気の源になります。
隣の人がテレビを買った、ウチも負けてられないな!!
友人が洗濯機を買った、毎日の洗濯から開放されて時間に余裕ができたらしい…羨ましい!!!
戦後、焼け野原から再興し、先進国の仲間入りを目指した日本人も同じ気持ちだったのではないでしょうか?
しかし今の日本は物で溢れ豊かになり物欲はありません。
日本は豊かになり過ぎました。草食系男子、車に興味がない若者、消費よりも将来のために貯金。
消費が起きなければ、経済は成長しません。
誰かの消費は誰かの所得です。物やサービスが飽和してしまったら消費のスピードや質は変化します。
新興国カンボジアは、日本に比べ物が圧倒的に不足しています。
圧倒的に減っているだけ、これからの可能性も圧倒的に存在します。
消費→生産→消費→生産→消費→生産、、、、このサイクル速度の速さは新興国の大きな魅力です。
カンボジアの一人当たりGDPは、1000ドル
国の年間GDPを国民の総数で割った数値が、一人当たりGDPとなります。カンボジアの一人当たりGDPは、約1000ドル。日本の一人当たりGDPは、約3万8千ドル。この差は成長性の伸び代と捉えることもできます。もっとも日本の人口は1億2千万人、カンボジアの人口は1500万人なので単純に比較はできません。
アジア周辺国の一人当たりGDPを見てみると、、、
シンガポール 5万5千ドル
香港 3万8千ドル
韓国 2万6千ドル
台湾 2万ドル
マレーシア 1万ドル
中国 7千ドル
タイ 5千6百ドル
インドネシア 3千5百ドル
フィリピン 2千8百ドル
ベトナム 2千ドル
インド 1千5百ドル
カンボジア 1千ドル
カンボジアの一人当たりGDPは著しく低い値にあります。カンボジアが経済発展に出遅れた大きな要因は、長い内戦をしていた事に起因します。ポル・ポトという統治者によって大量の国民が殺戮されました。その数200万人以上。その殺された人々の中には、カンボジアの医師や弁護士など知識者層の人々も多く含まれています。
しかし、1990年代前半から、現カンボジア首相のフン・セン氏が実権を握ってからは、安定的な経済成長を実現しています。日本からの多額のODA援助、フランスからの独立時の支援、親日家が沢山いるのもカンボジアの大きな魅力です。国民の90%以上がクメール人であり民族紛争のリスクもありません。さらにクメール人は真面目で誠実な人が多く、どこか日本人に似ています。
カンボジアは、長い内戦を乗り越え、ようやく経済発展をしていこうとしている段階です。
しかし、GDP成長率の伸びだけでは、全てを判断することはできません。
GDP成長率では、日本はカンボジアよりも低いですが、国としての経済規模は何十倍も違います。
先進国は、経済成長をし、物やサービスで溢れ豊かな生活を手に入れた反面、
人件費の高コスト問題に頭を悩ませています。
企業の一番のコストは人件費。この一番高いコストを圧縮している企業は利益を出すことに成功しています。
中国が世界の工場となり、経済発展を遂げた一番の要因も人件費の安さ。
安い大量の労働力を背景に世界第二位のGDPを達成しました。
しかし中国の成長にも陰りが見え始めました。
今までの戦略では中国も成長性を維持できません。
ASEAN(東南アジア)と中国の貿易関係の強化、アジアインフラ投資銀行の創設。
中国は着々とアジア経済圏での準備を始めています。
既に先進国で稼動している工場や生産拠点を海外の人件費の安い国で生産をする。
人件費が低い分だけ企業の価格競争力を後押し、利益も残せるから、次の手も打てる。
新興国は国民の職を確保でき経済成長も実現できる。コピーペーストをした企業は、利益が確保できる。
(もちろんコピーペーストという表現に比べ実際の企業進出は、そんなに簡単ではありません。)
しかし、その影で先進国の仕事がどんどん無くなっていきました。
単純労働は人件費の安い新興国に移り、求められる人材はスペシャリストや優秀な人材だけ。
肉体労働ではなく頭脳労働へのシフトができなかった人々は職にあぶれています。
質もサービスも価格差は、もっと厳しくなるでしょう。
海外投資は、自分でビジネスを始めるのが一番いい。
まずは、並行輸入で交通費を確保。税関で税を納めても、利益が取れる物ならベター。
少しづつ転がして事業を大きくするチャンスもあるかもしれないアジア。その中でも東南アジアは面白い地域です。ユーラシア大陸の東南アジア、ベトナム、カンボジア、タイ王国は、日本とも関係性が強く東南アジアの鍵です。
海外投資は、ビジネス投資、不動産投資、事業投資、GDPの成長率の波を使って、地の利を生かせば、国内投資ではありえないスピードで資産を増やすことができるかもしれません。もちろん投資元本は少なく、リスクを分散し、利バランスを取りながら、粗利は高く頻繁に売れるモノを提供できたら思いがけない発展を遂げるかもしれません。お金がなければアイデアを出せば良い、アイデアが無い人は、働いて貢献すれば良い、働かない人はお金を出資して口を出せば良い。